『健康長寿県』をめざす青森県の取り組みに、花王が「内臓脂肪研究」の成果で協力 ~青森県健康づくりトップセミナー~

 青森県では、「健康長寿県」を実現するため、県・市町村、医療、大学、そして企業等が一体となって、積極的な活動を行っています。平成27年3月に行われた「青森県健康づくりトップセミナー」もそのひとつです。セミナーを主催した青森県の取り組みと、そこに「内臓脂肪と生活習慣」をキーワードに協力した花王株式会社の活動をレポートします。

トップセミナーで「健康教育サポーター」を育成

青森県では、地域の健康づくりを推進する人財「健康教育サポーター」の育成を行っています。

「健康長寿県」をめざして挨拶する
三村申吾青森県知事
県民のヘルスリテラシー、いわゆる「健やか力(すこやかりょく)」を向上させるには、地域で継続的に関わる人財を育て、活動を根づかせることが重要と考えてのことです。青森市で開催された「青森県健康づくりトップセミナー」では、健康づくりに携わる専門職や企業の経営者、職場の健康づくり担当者を中心に約120名が受講しました。

青森県の健康づくりのスローガン開会にあたり、三村申吾知事が健康長寿県をめざす強い想いと、健康教育サポーターへの期待を表明。県の健康福祉部からは、「今を変えれば!未来は変わる!!」をスローガンに、健康教育サポーターとして、生活習慣改善の重要性に関していかに県民の理解を得るか、そのポイントについて説明がありました。

基調講演は青森県出身の対馬ルリ子医師続いて、青森県出身で、全国で女性の健康に関する啓発活動を行っている対馬ルリ子医師(NPO法人女性医療ネットワーク代表理事、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長)が基調講演を行いました。同医師は故郷の健康長寿県実現にぜひ貢献したいと活動を開始。

健康教育サポーターらが参加したトップセミナー今回は「女性による健康づくりについて ~健康長寿県あおもりを目指して~」と題して、地域の「健やか力」向上のための担い手である女性から青森県を健康にすることを訴えました。

最近肥満が気になり始め、健康づくりに取り組んでいる「マモルさん」は、青森県の「健やか力」向上推進キャラクター。セミナーの最後は、対馬医師の紹介で青森県の健康づくりを支援している花王株式会社の講演でした。テーマは「内臓脂肪」。1万人以上におよぶ内臓脂肪研究のデータをもとに、内臓脂肪が糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中などの生活習慣病と関連していること、男性では30代から、女性では更年期以降、内臓脂肪の増加に注意が必要であることなどが解説されました。

「かくれ内臓脂肪肥満」も「見える化」

当日はセミナー会場内で、花王による「内臓脂肪&生活習慣チェック」が行われ、三村知事をはじめ、約半数の参加者が体験しました。ほとんどの方が、自分の内臓脂肪を測定するのは初めてです。

内臓脂肪は内臓の周りや隙間に付いた脂肪で、お腹の中の方にあるため、触ることも見ることもできません。正確にはX線CTで腹部の断面を撮影して計測しますが、多数の人が頻繁に測定するには適しません。健康診断では代わりに簡単にできる方法として腹囲や体重の測定が行われますが、内臓脂肪だけでなく皮下脂肪や筋肉の量も反映してしまい、正しい計測ができません。事実、花王と国立京都医療センターの共同研究によれば、50歳以上の男性の約半数は内臓脂肪の量が基準値を超える「内臓脂肪肥満」であり、その中には腹囲や体重が肥満の基準値以下の、いわゆる「かくれ内臓脂肪肥満」がかなり含まれているのです(右図参照)。
もしこれを簡便に「見える化」できれば、生活習慣改善への強い動機づけになるはず。今回のセミナーでは大阪大学と花王が共同開発した内臓脂肪技術による計測を行いました。X線を用いず、ベルト型の電極を腹部に巻いて弱い電流を流して測定するだけの方法(「腹部インピーダンス法」)なので、こうしたセミナーや職場の健康診断、健康イベントでの活用が期待されます。
内臓脂肪測定を体験した方々からは、「電流を流して測るので安全なのがうれしい」、「すぐに数値がわかるのがいい」、「ふだん意識しない内臓脂肪がわかり、生活習慣を意識するようになった」など、期待の声が寄せられました。

内臓脂肪は生活習慣で減らせる!

内臓脂肪と体重(BMI)の分布 ~男性~セミナー会場内で実施された「内臓脂肪&生活習慣チェック」では、内臓脂肪が手軽に正しくチェックでき、生活習慣改善のきっかけになると好評「見える化」による強い動機づけ効果に加えて、内臓脂肪に着目する良い点は、生活習慣との関連性が強く、しかも改善の結果がすぐに現れやすいことです。「例えば、夕食の時間を少し早くするだけでも、あるいは毎日の歩数を少し増やすだけでも、1ヵ月ほどで内臓脂肪を減らすことができます」(花王ヘルスケア食品研究所 片嶋充弘主席研究員)とのこと。
セミナーで実施された「内臓脂肪&生活習慣チェック」では、内臓脂肪の測定結果に加えて、参加者一人ひとりの生活習慣が解析され、「どの生活習慣がどれだけ内臓脂肪を増やしているか、減らしているか」も示されました。

自治体の健康づくりに民間企業の研究成果とノウハウを役立てる

健康寿命の延伸には、まず健康診断の受診率を高めること、そして食生活を含めた生活習慣の改善が課題となります。ふだんは見えない内臓脂肪の「見える化」が、健康チェックへの関心を高め、さらに「生活習慣を変えれば健康になれる」という自己効力感を高めるので、健康づくり全体に好影響をもたらすことが期待されます。

民間企業では、このような生活者心理(マーケティング)に基づく生活改善の研究を行っており、その研究成果とノウハウは自治体の健康づくりにも活用できるものです。
今回セミナーを主催した青森県健康福祉部がん・生活習慣病対策課の三浦たみ子氏(当時:健康増進・生活習慣病対策グループマネージャー、現:同課課長代理)は、「本県では、働き盛り世代における健康づくりの取り組みを進めていく必要があると考えています。今回のセミナーを通じて、①女性の健康についてもっと知りたい。②個人的にも職場でも役に立つ内容であった。③内臓脂肪測定体験が有意義であり、可能であれば職場でも取り入れたいなどのご意見をいただき、職場における健康づくりの重要性を知っていただくいい機会となったと感じており、今回のセミナーのように、具体的に健康づくりに参加していただけるような取り組みを進めていきたいと思います。」と語っています。
また、内臓脂肪をテーマとした講演と「内臓脂肪&生活習慣チェック」で協力した花王は、「私どもはかねてより生活者一人ひとりの健康づくりをお手伝いする製品をお届けしてきました。その開発の過程で様々な研究成果やノウハウを蓄積してきましたが、昨今はそれを地域や職場の健康づくりに役立てていただける場面が増えてきています。このたびは青森県の県を挙げた活動のお手伝いができ、たいへんうれしく思います」と語っています(花王ヒューマンヘルスケア事業ユニット 森本聡尚マネージャー)。
自治体が重要課題とする市民の健康づくりに、民間企業が研究力とノウハウで協力し、貢献する。そんなプロジェクトがこれからさらに増えそうです。

詳しくは、花王株式会社 フード&ビバレッジ事業グループ測定会担当 TEL.03-3660-7266
(受付時間 9:00~17:00〈土曜・日曜・祝日除く〉)