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働き盛りと家族に、楽しい食育を――「スマート和食®」料理教室

岩手県、花王、ABCクッキングスタジオの連携で、働き盛り世代が家族と一緒に、健康的な食事を楽しく学ぶ料理教室が実現しました。岩手県の健康課題である脳卒中予防に役立つ「しっかり食べて、内臓脂肪をためない」食事を学んで、作って、食べて実感。参加者からは笑顔とともに驚きの声が!

職場の健康づくりと家庭をつなぐ――スマート和食の新たな展開をレポートします。

内臓脂肪をためない「スマート和食」を家庭へ

 「スマート和食」は、花王が長年取り組む栄養代謝研究から見出した、「しっかり食べて内臓脂肪をためない」食事法です。極端に食事の量を減らさなくても、食材選択や献立の工夫で、健康的な食事をおいしく楽しむことができます。今では様々な企業の社員食堂や弁当給食を通じて職場の健康づくりに活用されています。

 スマート和食を学んで、自分たちで作り、できあがった料理に舌鼓を打ちながら、その魅力を実感! そんな料理教室が、イオンモール盛岡内のABCクッキングスタジオで開かれました。

 この料理教室は、岩手県の「県民主体の健康度アップ支援事業」の一環です。

 前年度(2018年度)から始まった同事業は、主に働き盛り世代を対象として、県民の健康づくりの環境整備を目指すもの。花王の提案する「内臓脂肪を測って、くらしを通じて減らす」プログラムを採用して進めています。「楽しく歩くこと」と並んで内臓脂肪を減らす「くらし」を構成する重要な要素が「スマート和食」です。

 料理教室の冒頭で、県の海上博氏(保健福祉部健康国保課健康予防担当課長)は、次のように話しています。

 「岩手県では、脳卒中や虚血性心臓疾患の死亡率が全国平均を大きく上回っています。しかも生活習慣に起因するこれらの疾患は、働き盛り世代から顕著で、内臓脂肪肥満も全国平均より多いのが現状です。内臓脂肪を減らすには、動く(歩く)こと、そして正しく食べることが重要です。今日は、働き盛りのみなさんにご家族と一緒にスマート和食を学んでいただいて、ご家庭でも健康づくりに取り組んでいただければと思います。食事で何よりも重要なのは、おいしいことです。ぜひそこも実感して、楽しんでいってください」

 県と花王は、2018年度から、「県民主体の健康度アップ支援事業」への参加企業において「スマート和食」のセミナーを実施したり、「スマート和食」の昼食弁当を届ける等の取り組みを行っています。今年度はさらに一歩進め、企業従業員の家族(配偶者や子どもたち)にまでアプローチを広げようと試みたのが今回の料理教室です。

家族が笑顔で料理づくりを楽しみ、健康リテラシーを育む

 料理教室は、10月6日(日)と27日(日)の2回、イオンモール盛岡内のABCクッキングスタジオで開かれました。

 まず、始めは、花王の金澤美子・スマート和食アンバサダーによる、内臓脂肪とスマート和食のミニ講座です。岩手県の健康課題と内臓脂肪が密接に関わっていること、岩手県にとって重要な食事のポイントは、「適塩」と「内臓脂肪をためないこと」であることが示されました。

  次に、内臓脂肪をためない「スマート和食」の紹介です。スマート和食のポイントである「3組のバランス」(右カコミ参照)と、その実践ガイドラインとなる「くらし方3ヵ条」、「食事5ヵ条」がわかりやすく説明されました。

 いよいよ料理に挑戦です。参加者24名が6人ずつ1組となり、各組にABCクッキングスタジオの先生が付きます。

 「どの調理工程にも関わっていただきますので、参加された皆様全員に料理のポイントを感じていただけます」と同社の田中亜耶音氏(ヘルスケア事業グループ)。

 こうして、従業員と家族らが笑顔で料理づくりを楽しみました。共同作業の食事づくりで、会話も弾みます。

 ハンバーグの具をこね、みそ汁の具となる根菜を切り……盛り付けまで、お子様から年輩の方まで、全員ですべてに関わりながら、つくります。そのプロセスを通じて、スマート和食の特色について、学びます。最後に試食。じっくり味わいながら、作業を振り返り、味を語りあい、笑顔がこぼれます。

「お腹がいっぱいになり、驚きました」「これまでの“健康食”の考えを覆す」

 試食を終えた方々に感想を伺ってみました。

 ・Aさん(お子様をお持ちの女性)「家ではふだんから子どものご飯をつくっていますが、いつもメニューを難しく考えがちです。でも、今日のメニューはとても簡単でした。すぐに実践できます。それがすごくよかったですね。それと、おいしいし、しっかり食べて、お腹いっぱいになりました。それなのに、内臓脂肪がたまらない、減らせるなんて、うれしい。食べる量を減らすという辛い思いをしないで、内臓脂肪を減らせるスマート和食は、今までの考え方を覆すもの。ありがたいですね」

 小ぶりに見えるハンバーグだが、実際に食べてみると、満足感が広がる。鶏むね肉に豆腐を加えて、高たんぱく質・低脂質、なのにふっくらジューシーに食べられる。写真は女児が仕上げたハンバーグ。

Bさん(若い女性)「以前、職場でスマート和食の説明をしてもらい、興味を持ちました。今日は参加してよかったです。すっかり満腹で驚きましたが、内臓脂肪がつきにくいというのがうれしいですね。ホコタッチ(花王が本事業で提供している活動量計)は今も着けていて、歩くことと食事の両方とも、簡単に取り組めます。昨日は、ほら、2万歩、歩いています(笑)」

 ・Cさん(壮年男性)「楽しかったし、いい勉強になりました。ふだん料理はしません。こういう料理をつくったのは初めてです。スマート和食については、職場で聞いたことがありました。自分がいつも食べるのはだいたい味が濃いですね。“健康的”ということなので、薄味で、しかも量が少ないのでは、と想像していました。でも今日の料理は、味がしっかりあって、おいしく食べられ、しかも満腹になりました」

Dさん(若い男性)「お腹いっぱいになりました。じつは、この料理教室の食事だけではもの足りないだろうから、終わったら別の所へ食べに行く予定にしていましたが、もうこれで十分です(笑)。味付けもちょうどいい。不満はないですね」

Eさん(小学生の女児)「お父さんと一緒につくって、楽しかったです。ハンバークがおいしかった」

「いつでもスマート和食が食べられる」環境づくりへ

 健康的な食事に対しては、誰もが「ボリュームや味付を我慢しなければ」というイメージを抱くもの。だからこそ今回、参加者の皆さんは、味とボリュームに満足できるスマート和食を食べて、その魅力に驚いていました。

 献立レシピについて、田中氏(ABC Cooking Studio)は解説します。「花王さんのスマート和食の考えに沿って、ハンバーグは鶏のむね肉を選び、豆腐を足しました。これにより、内臓脂肪が付きにくい栄養バランスとおいしさを両立させているんです。参加された皆様方もそういう工夫に驚かれていました」。上述のスマート和食「3組のバランス」を大切にすれば、「しっかり食べていい」ことを参加者の皆さんが身をもって実感したのです。

 「料理を学んでいただくだけではなく、健康的なカラダをつくり、病気を防ぎ、健康寿命を延ばす。そんなお手伝いを、これからも皆様と一緒にさせていたければと思います」と田中氏。

 岩手県の互野裕子氏(保健福祉部健康国保課主任主査)も、スマート和食の力を再確認していました。

「参加された皆様が感心されていたように、スマート和食はこれまでの“健康食”の印象を打ち破るものです。しっかり食べられるのに、内臓脂肪が付きにくい。スマート和食とその考え方をもっと手軽に県民の皆様に体験していただきたいですね。保健師や管理栄養士、そして食生活改善推進員の皆様を通じて、スマート和食の普及に努めますが、同時に今回のように、企業にお勤めの働き盛りの方々にご家族と一緒にスマート和食を体験していただき、ご家庭内に広がればと思います」

 互野氏の夢は膨らみます、「まだスマート和食を知らない方がたくさんいらっしゃいます。『どこにあるんですか』、『どこで食べられるんですか』と聞かれます。いつでもどこでもスマート和食がつくれる、食べられる、あるいはコンビニやスーパーでも『3組のバランス』を意識してチョイスできる――そんな環境が実現できるといいですね」とにっこり。

 県が進める健康経営(企業における経営戦略的な健康づくり)には、食生活の改善支援が欠かせません。となれば、職場での昼食だけでなく、家庭での朝食や夕食も含めた改善が強く求められます。今回の料理教室での家族(家庭)へのアプローチは、文字通り「県民主体の健康度アップ支援事業」の名にふさわしい、新たな重要な取り組みと言えそうです。

 花王の金澤美子・スマート和食アンバサダー(前出)は語ります。「参加された皆さんの顔を見てください。この料理教室では、普段仕事に一生懸命な働き盛り世代が、家族と一緒に、笑顔あふれる時間を持てる。これには単なる健康づくりを越えて、人生を豊かにする価値があると思うんです。私自身、スマート和食に関わっていて良かった、と感じる瞬間です」―――。この取り組みが多くの地域や職場に広がることが望まれます。

※「スマート和食」は、花王株式会社の登録商標です。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。



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