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ニューノーマル時代のリーダーシップ ~東京五輪・パラリンピックから学ぶ組織改革~

本鼎談では、スポーツジャーナリストでリーダーシップ論に精通した二宮清純氏、松戸市長で健康都市連合日本支部長の本郷谷健次氏、大成建設株式会社専務執行役員の吉成泰氏をお迎えした。二宮氏の豊富な取材経験を皮切りに本郷谷氏と吉成氏に行政や企業におけるリーダーシップ論を展開いただいた。

二宮 清純氏 × 本郷谷 健次氏 × 吉成 泰氏  司会  千葉 光行

コロナ禍による緊急事態宣言下での東京五輪・パラリンピックが9月5日に閉幕した。さまざまな制約があったが、自国開催ということもあり、スポーツが持つ力に多くの国民が釘付けになったに違いない。特に感動を呼んだのが、多様な個性や能力をもつ選手たちがチームのために全力を尽くす姿ではないだろうか?この力を引き出すのがリーダーシップであり、「組織の中で目標を定め、成果を出す能力」つまり、「組織を成立させる能力」と解釈されている。

これまでの常識が大きく変わるニューノーマル(※)時代を迎えた今、このリーダーシップ能力を行政や企業の組織改革に応用するにはどうすればよいのか?トップアスリート集団と行政、企業の組織間で共通項があるはずだ。

 

その前に「組織」とは何かを考えてみたい。経営学の祖とされるアメリカの経営学者、チェスター・バーナード氏(1886年~1961年)は、組織が成立する条件として、「共通の目的(ミッション)」、「伝達(コミュニケーション)」、「協同意欲(エンゲージメント)」の3つを掲げている。

 

「ミッション」はその団体の目的であり、活動を通してなりたい姿を示す。すべての団体においてミッションが浸透していることは、強い組織を作るうえで最重要条件となる。

 

ミッションをすべてのメンバーが共有するために不可欠なのが「コミュニケーション」だ。意思決定を行うためには、コミュニケーションによって関係者の意見調整や合意形成を行わねばならない。組織では刻々と意思決定が行われているが、そのスピードと正確さが組織のパフォーマンスを左右するといってもよい。

 

そして一人ひとりのモチベーションを意味する「エンゲージメント」が成果を生み出す原動力となる。3要素の相乗効果により組織が成立し、目標達成に動くのであり、リーダーの役割は、それらを追求することに他ならない。

 

新型コロナウイルスによる想定外の危機に見舞われた今、従来当たり前だと思っていた考え方や行動を見直さなければならなくなっている。パンデミックを乗り切り、アフターコロナに訪れるニューノーマルと呼ばれる新たな環境に我々はあらゆる場面で積極的に適応していかなければならない。そのためには、人々の意識の変化を促すニューノーマル時代のリーダーシップが求められるのである。

 

特集の鼎談では、スポーツジャーナリストでリーダーシップ論に精通した二宮清純氏、松戸市長で健康都市連合日本支部長の本郷谷健次氏、大成建設株式会社専務執行役員の吉成泰氏をお迎えした。二宮氏の豊富な取材経験を皮切りに本郷谷氏と吉成氏に行政や企業におけるリーダーシップ論を展開いただいた。

向かって左から二宮氏、本郷谷氏、吉成氏、千葉氏
向かって左から二宮氏、本郷谷氏、吉成氏、千葉氏

東京五輪・パラリンピックの総括

千葉

まずは、東京五輪・パラリンピックの感想をお聞かせください。

 

二宮

コロナ対策のために無観客で開催されましたが、熱中症対策の観点でもその選択が正しかったと思います。というのも、日本では多い時に年間2千人近い人々が熱中症で亡くなっているからです。観客には体温調整機能が低下した高齢者の方もいます。熱中症で病院に搬送される事態になれば、ひっ迫していた医療提供体制にさらなる負担を与えることになり、五輪が悪者になっていたでしょう。大会中に熱中症になった選手が何人か出ましたが、感染症のクラスターは1例しか発生しませんでした。開催国としての責任を果たすことができたと思います。

 

一方で橋本聖子組織委員会会長が指摘したとおり、過酷な夏の開催には無理がある。それにもかかわらず秋に変更できないのは、米国で五輪の放映権を持つNBCユニバーサルが夏の開催を望んでいるためです。秋はメジャーリーグが佳境に入るし、NBAが開幕するためより多くの視聴率が期待できる。なにしろ同社は五輪最大のスポンサーで、テレビ全体では放映権料がIOCの収入の約7割を占めているため、その意向には逆らいにくい。

 

本郷谷

政治がコロナ禍と五輪に振り回される中で、リーダーの発信力が十分ではなかったように思います。国民の理解を得ながら進めれば、政権を揺るがすような事態にはならなかったのではないでしょうか。

 

吉成

57年前の東京五輪は国を挙げての国民的行事でした。当時私は8歳でしたが、その記憶が鮮明です。社会が成熟した中で開催された今回の五輪には2013年の開催決定以来、いろいろな問題がありましたが、無事に閉幕して本当に良かったと思います。

 

千葉

今大会で特に印象深いのは何でしょうか?

 

本郷谷

パラリンピックでの選手たちの活躍で、特に残された身体の運動機能を最大限に生かして力泳するスイマーに感動しました。

 

肉体的なハンディキャップを克服したパラアスリートの姿は、障害者福祉の新たな一面を考えさせてくれました。単なる自立支援ではなく、生きがいをもった自立支援です。そのためには、スポーツや仕事で自己実現を果たせる社会環境やサービスを整えることが重要だと感じました。

 

吉成

私もパラ水泳の選手たちに心を奪われました。人間のもっている潜在的なポテンシャルの大きさに改めて気付かされました。

 

パラリンピックと社会

二宮

その点でパラリンピックは社会的に重要だと思います。正式に採用されたのが1988年のソウル大会で、以降、バリアフリー社会の実現に向けて高い関心を集めてきました。

 

特に今回脚光を浴びた背景には、高齢化率があると思います。1964年は65歳以上の高齢者が全人口に占める割合はたったの6%でした。日本社会の青春時代です。高度成長期の中頃から後半にかけて新幹線や首都高が開通し、ホテルニューオータニのような施設が開業したイケイケどんどんの時代です。まさに伸び行く東京、発展する日本であり、五輪のコンセプトは「成長」でした。

 

2021年には高齢化率が約29%になり、3人に一人が高齢者の時代になりました。成長から成熟社会へのパラダイムシフトが起きたことで、障害者スポーツへの理解や環境整備が高齢社会への備えとしてクローズアップされたのです。スポーツを通じたバリアフリー環境や健康都市、ユニバーサル社会の実現と言ってもよいでしょう。今大会をそうした未来へのレガシーに繋げることが本当のテーマだと思います。

 

本郷谷

今後は高齢化が特別なのではなく、当たり前の社会になります。当市でも100歳以上の高齢者が400人を超えました。社会そのものが変化しているのですから、一時的な対策で間に合うはずがない。根本的に制度や環境をつくり変えねばなりません。

 

二宮

一般社団法人日本パラリンピアンズ協会の理事で河合純一さんという方がいます。1992年のバルセロナ大会~2012年のロンドン大会競泳の視覚障害クラスで通算、金5、銀9、銅7のメダルを獲得しました。彼と会ったのは1998年の長野オリンピック後でした。その時、初対面の私に「朝刊を読みましたか?」と聞いてきたのです。「読みましたけど…」と答えると「20~30年後に新聞を読める保証はないですよ。緑内障や白内障、黄斑変性症で視力を失う恐れは誰にでもあるのだから」と言うのです。実際、河合さんも15歳の頃に目の病気で失明したそうです。

 

続けて「何かスポーツをしていますか?」と聞かれたので「誘われてたまに下手なゴルフを…」と返すと「20~30年後にゴルフを楽しめる保証はないですよ。腰や膝を痛めるかもしれないし、交通事故に遭わないとも限りません」と切り返してくる。河合さんは、障害者は、私のような健常者の未来の姿だと言いたかったのです。

 

人間誰でも加齢とともに身体機能を失っていきます。「確かにそうだ」と思った瞬間、オリンピックとパラリンピックが繋がったのです。実はこの時まで、スポーツジャーナリストでありながらそれぞれ別物だと思っていました。高齢者率約29%の社会にあって、誰もが加齢とともに障害者に近づくのであれば、東京五輪・パラリンピックの機会に環境整備をしない手はありません。

 

千葉

その点、新たに建設された国立競技場はシンボリックなレガシーとなることが期待されています。

 

吉成

国立競技場は大成建設・梓設計・隈研吾氏の共同設計で、当社が施工しました。世界最高のユニバーサルデザインを目指し、ワークショップを設計から施工まで継続的に開催した結果、「アクセスしやすさ」「観やすさ」「安全性」「快適性」を兼ね備えたスタジアムを整備することができました。

 

コンセプトは市民に開かれた「杜のスタジアム」で、高さを抑え外装軒庇に47都道府県の木材を使用しているので、緑豊かな明治神宮外苑の風景に溶け込んでいると思います。また、スタジアムの大屋根のトラスには、鉄骨と森林認証を取得した国産の木材を組み合わせていて、アスリートや観客を柔らかく包み込んでいます。

 

 

夏季の暑さ対策としては「風の大庇」と「風のテラス」から観客席に風を呼び込むことで、スタジアム内の熱と湿気を上昇気流で排出する設計になっており、そよ風が吹けばフィールドの空気を入れ替えることが可能です。

「ワンチーム」に学ぶ

千葉

次にスポーツを通してのリーダーシップや組織論をお話しください。

 

本郷谷

若い時からスポーツが大好きでした。中学でバスケットボール、高校からラグビーを始めて大学や社会人でも選手として活躍したものです。その頃はひたすら走り、厳しい練習に耐えれば強くなるという根性路線でした。最近までスポーツとはそういう世界だと思っていました。ところが車椅子ラグビーを観戦するとまったく違う。パラリンピック競技で唯一車いす同士がぶつかるタックルが認められており、激しいコンタクトプレーが繰り広げられる一方、ルールや戦略がすごく緻密なのです。

 

二宮

選手には障害の程度(重度から軽度)に応じて0.5〜3.5点の持ち点が与えられます。4人の持ち点の合計が8点を超えてはいけないため、その範囲のメンバーを構成しつつどのように攻撃し、守るか、戦略を立てねばならないのです。

 

本郷谷

将棋のような面白さがありますね。ルールの目的は、障害の重い選手も軽い選手も等しく出場機会を得るためと聞きました。ここに現在の行政組織とリーダーシップを重ね合わせることができます。昔の中央集権下では、地方は国の方針に従っていればよかった。組織は縦割りで首長のリーダーシップはあまり問われませんでした。地方分権になってからは違います。首長の下、自分たちで目標を考え、達成するための組織づくりや戦略を練らねばなりません。

 

吉成

私も車椅子ラグビーをテレビで観戦し、改めてチームワーク(人の和)の大切さを実感しました。障害の度合いや性別、そして各人の能力を踏まえた上でチームをまとめ上げて戦略を立てることは、企業の経営にも通じると思います。企業は人で成り立っている訳ですから、社員の誰をも置き去りにすることなく育成することを何よりも優先しなければなりません。車椅子ラグビーを観戦し、チームワークの重要性と多様性の受容、いわゆるダイバーシティについて改めて考えさせられました。

 

二宮

日本がラグビーワールドカップベスト8に進出した2019年の流行語大賞は「ワンチーム」でした。この言葉にリーダーシップと組織のエッセンスが凝縮されていると思います。

 

千葉

それはどういうことでしょうか?

 

二宮

日本のラグビーを変えたのはオーストラリア出身のエディ・ジョーンズさん(現イングランドの代表監督)です。2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップで日本代表ヘッドコーチを務めた際、優勝候補の南アフリカを下すという世紀の番狂わせを導きました。どのくらい奇跡かというと、賭け好きのイギリス人が日本に賭けなかったため、賭けが成立しなかったほどです。この時、エディさんはまさに「ワンチーム」を作り上げていました。

 

ではどうしたのか?「言葉」で選手たちの意識を変えたのです。ラグビーでは背番号がポジションを表します。例えば9番がスクラムハーフ、10番がスタンドオフ、15番がフルバックという具合です。こうなるとレギュラーである15番までの選手は堂々とユニフォームを露出できますが、16番以降の選手は「あれは補欠か」と知られるのが恥ずかしくてジャンパーで隠すようになる。以前のラグビーの試合ではあまり選手の交代がなかったため、怪我でもない限り補欠の出番はなかったのです。

 

日本も例外ではありませんでした。選手の心理を見抜いたエディさんが行ったのが「リザーブ」の代わりに「インパクトプレイヤー」の呼称を用いることでした。「お前たちは補欠ではない。大事な時に出るプレイヤーだ」と言葉で示したのです。これが意識を変えました。俄然やる気を起こした選手たちに実力を発揮させ、レギュラーと切磋琢磨させることでチーム全体を大きくレベルアップさせたのです。こうした手法は2019年大会のジェイミー・ジョセフHCにも受け継がれました。

 

では、「ワンチーム」の定義は何か。「居場所」「役割」「出番」の創出だと思います。まず、人には所属する「居場所」がなければなりません。吉成さんが目指す「誰も置き去りにしない組織」です。物理的な居場所であると同時に心の居場所をも意味します。次に、その人の性格や特性、能力に応じて担ってもらうのが「役割」です。人には得手不得手がある。「営業はできないけど文章作成は得意」だとか「歌は下手だけど酒は強い」とか、何でもいい。そして「出番」です。準備だけで終わってしまっていては、やる気が失せてしまう。この三つを担保することで全員が機能し組織が「ワンチーム」になるのです。

「居場所」「役割」「出番」の創出

千葉

チームスポーツとしてのラグビーから発祥した「ワンチーム」は汎用性があるのですね。地方分権が進む中、行政に置き換えた場合の「居場所」「役割」「出番」についてはいかがでしょうか?

 

本郷谷

かつては中央集権で、多くの自治体の自主財源が3割程度しかありませんでした。権限も国が握っていたことから、「3割自治」と揶揄されたものです。ところが全国画一的な施策では、それぞれの地域の実情に応じた対応が困難です。そこで地方分権改革により国の権限や財源を自治体に移し、自治体が独自に行政サービスを提供する仕組みづくりが始まりました。1999年の「地方分権一括法」の施行により中央集権型の行政システムが廃止され、地方自治のあり方は大きく変わりました。

 

一方で中央集権の仕組みは、今も自治体組織に残っています。会計をはじめさまざまな制度も同様です。私は民間出身なので、当初は「職員に言葉が通じているのだろうか?」と訝しむくらいのカルチャーショックを受けましたが、優先順位を付けながら現実に沿った改革を進めてきました。その中で最も重視してきたのが子育て環境の整備です。市政のすべてに優先すると言ってもよいでしょう。子どもたちの成長は社会を支える側、つまり未来の力となるためです。

 

まずはすべて必要な案件、例えば保育環境や病児・病後児保育、産後ケア、子ども家庭総合支援拠点の設置等を子ども部で検討してもらい予算をつけることにしました。結果、役所の中で最も自立して動き始めたのが子ども部になったのです。トップの役割は、方向を示すことと職員がどんどん動ける環境づくりをすることです。「何のためにやるのか」を周知し、役割を与えれば人は力を発揮し組織は大きく変わります。

 

そうした取組みが高く評価され、日経DUALが発表する「共働き子育てしやすい街ランキング2020」において、初めて総合編1位を受賞しました。市民のプライドになるし、「住みたい街」として若い世代の人気も高まっています。今後も、この施策を進め、「住み続ける価値の高い街」を目指していきます。

 

千葉

二宮さんが指摘した「ワンチーム」に通じるものがありますね。民間企業で培った感性がリーダーシップに生かされているのだと思います。企業のリーダーの立場としてはどうでしょうか?

 

吉成

我々建設業でもさまざまな職種の社員がまさに「ワンチーム」になって日々仕事に励んでいます。営業部門であれば、日々お客様と接する営業マンが表舞台で活躍するレギュラーと言えるのではないかと思います。建設業の営業マンは物を売っている訳ではないので、お客様の期待を超えるサービスを提供することで仕事の受注をめざします。

 

仕事の受注を達成するためには、社内にはデータの収集をはじめ、各種の技術提案や設計、積算など営業マンを支えてくれる多数のサポート役がいます。こういった縁の下の力持ち的存在なくして仕事の受注はあり得ないのです。

 

「ワンチーム」にはコミュニケーションが大事だと思います。首尾よく仕事が受注できた時、営業マンは関係者全員に「ありがとう、皆さんのおかげです」と真っ先に報告する事が大事です。反対に受注できなかった時はどうか。「サポートにもかかわらず自分の力量不足で期待に応えられなかった」「次回、更に頑張るのでよろしくお願いします」と謙虚な姿勢を示すことも大事です。そうした目配りや気配りを指導するのもリーダーの役割であり、日々範を示すように気を付けねばならないと思っています。信頼関係を築くのにコミュニケーションが重要で、その上に「居場所」「役割」「出番」を用意することで「ワンチーム」になると考えます。

求められるリーダー像

千葉

最後にどのようなリーダーが求められているのでしょうか?

 

二宮

まずは、その組織に合ったリーダーが必要となります。組織が発展途上なのか成熟しているのかでリーダーの役割は異なります。

 

例えばJリーグ初代チェアマンの川淵三郎さんは斜陽の組織が必要とするリーダーの典型です。1980年当時、サッカーは存亡の危機にありました。国立競技場でのラグビーの早明戦が5万人の観客を集めたのに比べ、サッカー日本代表戦の観客はたった500人ほどだったのです。川淵さんが初代チェアマンとしてJリーグを発足した結果、それをベースに強化され、日本代表の試合は今や満席です。こんなに劇的に変わった組織はない。当時のサッカー界には、織田信長のようなリーダーが必要だったのです。

 

野球界ではどうでしょうか?元ヤクルト監督の野村克也さんと元西武監督の森祇晶さんを例に挙げます。野村さんは中小企業のワンマン型社長タイプで、すべて自分でやらねば気が済まない人。飛行機に例えていえばセスナ機のパイロットです。一方の森さんは大企業の社長タイプで、飛行機でいうならジャンボジェットのパイロット。細かい技術指導などはやらなかった。当時発展途上だったヤクルトと最強で成熟した西武のチーム事情で求められるリーダーが違ったのです。

 

現在は、成熟した社会のリーダーが求められるのではないでしょうか?車いすラグビーの話題が出ましたが、この競技は組織運営の縮図だと思います。障害が重いローポインターと軽いハイポインターそれぞれに役割がある。得点するのがハイポインターで、相手の攻撃を阻止するためにぶつかるのがローポインターです。エースに頼るのではなく、全員で役割を分担するワークシェア型の組織が力を発揮する時代になったと考えています。

 

本郷谷

以前の行政組織は縦割りで調整はさほど必要なく、内部で問題が発生しない限り首長の出番はありませんでした。市民との対話さえうまくいけば評価され選挙に勝てるとされたのです。現在のような変革期には、組織の統率力と市民への発信力を兼ね備えたリーダーが求められています。

 

吉成

社員は多様です。リーダーとしてはそれぞれの長所を引き出すように、各人の心の支えとなるようにサポートすることが大事だと思います。少なくとも「会社に行くのが嫌だ」という状況は根絶しなければなりません。

 

これからの課題は、多様な価値観の社会状況下で、社員に対してどのようなビジョンを示せばよいのかということです。高度成長期の頃は成長と所得増という誰にとってもわかりやすいベクトルがありました。これからは単にGDPのような指標だけでは通用しません。SDGsやカーボンニュートラル、働き方改革にはじまり、「これ以上成長を求めるべきか?」という議論さえあります。

 

本郷谷

今は難しい時代です。GDPは低迷し、海外と比べて一人当たりの所得も伸びていません。そして電気自動車の台頭で産業そのものが変わろうとしている。リーダーは成長だけでなくSDGs等さまざまな価値観を受け入れる柔軟性を持たねばなりません。当市はベッドタウンとして約50万人の人口を擁しています。そうした市民の暮らしや街づくりに向け、政策や組織改革に柔軟に取り組んでいます。

千葉

本日は東京五輪・パラリンピックやプロスポーツのチームマネジメントから組織やリーダーシップについてさまざまな視点でお話いただきました。生き残りをかけて変革するのは行政も企業も同じであり、そのためには「ワンチーム」を作り上げることが必要との共通認識に至ったと思います。ありがとうございました。



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