ハンセン病療養所の将来構想とまちづくり⑤ 地域との交流

中尾会長(向かって左)
中尾会長(向かって左)

 「世界遺産」への登録推進を含む将来構想の実現には、地域住民とのパートナーシップが欠かせない。しかし、過去の確執があり簡単ではなかった。中尾会長は「地域から理解を得る道のりは厳しいものでした」と回顧する。

 

 「1951~1953年にかけての『らい予防法』改正反対運動では、地元虫明地域に『らい病は治る、理解してほしい』と一戸ずつチラシを配って歩いたものです。でも、目の前で破られたり、投げつけられたりしました。でもそれは仕方ないことです。怖い病気だと噂が流されたし、彼らから強制的に土地を没収して療養所を建てたのですから。」

屋会長(向かって右)
屋会長(向かって右)

 屋会長にも、地域の人に迷惑をかけたという思いがある。「当時はカキの養殖にしても、風評被害のために虫明産として出荷できませんでした。」問題解決に向け、屋会長は「とことん理解し合う努力が必要」と力を込める。「子どもたちは純粋で新しい情報をどんどん受け入れてくれます。一方で70代以上の世代は簡単ではありません。大人たちが子どもたちに正しい認識を伝えれば、ハンセン病問題は解決するし将来構想も進展するはずです。」

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ハンセン病療養所の将来構想とまちづくり④ 「世界遺産」への登録に向けて

 長島愛生園と邑久光明園に大島青松園(香川県高松市)を加えた瀬戸内海3園が世界遺産登録を目指している。世界遺産登録の目的は、ハンセン病療養所と回復者の歴史を将来世代に継承し、同じ過ちを繰り返さないようにするとともに、長島の属する瀬戸内市邑久町虫明地域の持続可能な発展に向けた環境づくりを進めることである。ハンセン病療養所内に存在する建造物群等を「ユネスコ世界文化遺産」として、ハンセン病回復者等が生きた証を示す資料等歴史的記録物を「ユネスコ世界の記録」としてそれぞれ登録することを目指している。

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ハンセン病療養所の将来構想とまちづくり③ 長島愛生園・邑久光明園

 本特集では、日本で唯一、2つの国立ハンセン病療養所を擁する岡山県瀬戸内市を訪問した。同市の長島には、全国13の国立ハンセン病療養所の中で「将来構想」の先駆的役割を果たしている長島愛生園と邑久光明園がある。両園の「将来構想」について、背景や内容、進捗状況について、さまざまな関係者への取材をもとにレポートする。

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ハンセン病療養所の将来構想とまちづくり② ハンセン病問題と将来構想の経緯

患者作業(グラウンド工事)
患者作業(グラウンド工事)

 1873年(明治6年)、ノルウェーの医師ハンセン氏がこの病気が「らい菌」の感染によって生じることを発見して以降、らい病患者を社会から隔離する政策が全世界的に広がった。日本も例外ではなく、政府は公立の療養所を全国5か所に設置し、その後、国立療養所を全国13か所に設置していった。その後、らい病という呼称は差別的な意味合いが強いことから、ハンセン病と呼び替えられた。

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ハンセン病療養所の将来構想とまちづくり①

 SDGs(持続可能な開発目標)は「誰一人取り残さない」ことを基本理念にしている。目的は人類の持続的な繁栄を達成することで、2015年9月の国連サミットで採択された。以来、17の目標と169のターゲットに沿って2030年の目標年に向けたオールジャパンの取組みが始まっている。全体を貫くのが人権尊重の思想だ。SDGsが含まれる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の導入部分は次のように「世界人権宣言」を強く反映している。「我々は、世界人権宣言及びその他の人権に関する国際文書並びに国際法の重要性を確認する。我々は、すべての国が国連憲章に則り、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治若しくは信条、国籍若しくは社会的出自(しゅつじ)、貧富、出生、障害等の違いに関係なく、すべての人の人権と基本的な自由の尊重、保護及び促進責任を有することを強調する。」

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対談 辻哲夫氏×岩堀幸司氏

岩堀氏(左)と辻氏
岩堀氏(左)と辻氏

 超高齢社会を迎え、新たな仕組みでの健康まちづくりが進んでいる。重要な役割を担うのが、在宅医療を中心に多職種が連携する地域包括ケアシステムである。

その本質は何か、地域医療や病院づくりにどのように影響するのか、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授と特定非営利活動法人医療施設近代化センターの岩堀幸司常務理事に対談いただいた。

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SDGs全国フォーラム2019

写真:横浜市
写真:横浜市

 神奈川県は横浜市や鎌倉市との共催で「SDGs全国フォーラム2019」を開催した。目的は自治体SDGsの取組みを国や民間企業、NPO等との連携で全国に発信し、地方創生に向けた結束を促すことだ。本稿では、主な発表内容の概要を報告する。

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SDGsと健康都市づくりセミナー

会場風景
会場風景

 高齢化が急速に進む日本にとって、SDGsに向けた最重要課題の一つが「健康寿命の延伸」であり、特に健康無関心層への対策が急務だ。本セミナーでは、SDGsと健康都市を踏まえた上で、厚生労働省や岡山市の担当者から政策や事業計画を発表いただいた。

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SDGs、人新世、地球の健康

会場風景
会場風景

 第8回健康都市連合国際会議がマレーシアサワラク州クチン市で開催された。テーマは「我々の都市、我々のSDG、我々の旅」で、持続可能な開発目標(SDG)の重要性と、その実現において都市が果たす役割について講演やセッション、展示が行われた。本稿では、次世代の健康都市を見据えたトレバー・ハンコック博士による基調講演の概要を紹介する。

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スペシャルインタビュー 笹谷 秀光さん

 2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。その実施に向け、日本政府もオールジャパンの基盤整備に取組んでいる。一方で一般の認知度は全体で14.8%(電通が全国10~70代の男女計1400名を対象に2018年2月に実施)の水準にあり、何よりも「わかりやすい」普及啓発が急務となっている。SDGsをどう捉えればよいのか、豊富な行政・ビジネス経験をもち、「持続可能性」や「地方創生」をライフワークに活躍する笹谷秀光さんにお話しをうかがった。

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