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スーパー次亜水で感染症対策に挑む

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、アルコール消毒液の代替として注目を集める次亜塩素酸水。除菌・消臭のメカニズムと安全性について、25年にわたり研究と普及に取り組む株式会社メディシン代表取締役の石田眞左瑠氏を取材した。

株式会社メディシン

公的機関が有効性と安全性を確認

 次亜塩素酸水は長年活用されている弱酸性水や強酸性水の総称で、最近では「新型コロナウイルス対策の切り札」として注目されている。成分は「次亜塩素酸(HClO)」の水溶液で、酸化作用がもたらす強い除菌力と消臭力を持ちながらも安全なため、食品や農業、医療・福祉施設、公共交通機関、飲食店をはじめ様々な分野で使用されている。

 

混同されやすいのが「次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)」だ。人体に有害な強アルカリ性で「ハイター」などの塩素系漂白剤の主成分となっている。名称が似ていることから同一視する報道がされたこともあり、「本当に有効なのか」「安全性はどうか」について、一時は国の研究機関や製造企業を巻き込んだ論争になった。

 

2020年6月に経済産業省の外郭団体である「NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)」が、「新型コロナウイルスを用いた検証で、一定濃度以上の次亜塩素酸水が消毒に有効と判明」とする最終結果を発表。ネット上に多くの商品が出回るようになった。しかし、基準が曖昧で中には科学的根拠が曖昧なものさえ見受けられるという。そうした中、長年にわたる実績で高い評価を維持しているのが、同社が開発に関与した「スーパー次亜水」だ。

スーパー次亜水の生成法

石田氏によると、次亜塩素酸水の生成方法には「電気分解法」と「混合方法」の2通りがある。前者では「塩」と「希塩酸」の水溶液水を電気分解して生成する一方、後者では「次亜塩素酸ナトリウム」と「希塩酸」を水で希釈混合し、中和して生成する。効果や安全性に変わりはないが、前者の「電気分解法」は電解層の交換にかなり高い費用がかかる一方、後者の「混合方法」は電解層がないので、費用を低く抑えることができる。

また、次亜塩素酸水は「ppm(有効塩素濃度)」と「pH値(酸性~中性~アルカリ性の液性を示す値)」により強酸性と弱酸性に分類できる。より人体に安全で高い除菌・消臭効果が実証されているのが、「弱酸性」だ。「スーパー次亜水」は、こうした「混合方法」で生成した「弱酸性次亜塩素酸水(pH6.0~6.5)」である。「効果、費用、安全性に優れているとの意味から『スーパー』を冠した」と石田氏。

スーパー次亜水の主たる除菌基盤は次亜塩素酸(HCIO)なため、HCIOが高比率で存在するpH領域に調整することで除菌効果は高くなる。

※遊離有効塩素:塩素系薬剤が水に溶解した時にできる次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン

スーパー次亜水の空中噴霧

 「スーパー次亜水」は、テーブルやドアノブ、床、トイレ、浴室等の表面素材と同時に、空中を漂うウイルスや臭いに対しても有効だ。特に感染症対策や排泄物等の臭い対策の観点から、医療・福祉施設での活用が広がっている。

 

空中噴霧の仕組みとして同社が開発したのが、「除菌消臭ビルトインシステム」だ。まずは生成装置で「次亜塩素酸ナトリウム」と「希塩酸」を水で希釈混合し「スーパー次亜水」を生成。各部屋に設置した壁設置型噴霧器に配管し、超音波の振動体により約4~5マイクロメートルの超微粒子にして空間の隅々まで噴霧する。専用蛇口を使うことで、食材の洗浄や調理器具の除菌にも使用できる。効果が低下する前に使い切るため、一時的に貯水するタンクも用意されている。(※1)一連の噴霧量や時間帯は、プロセス管理モニターで制御する。

 

石田氏によると、同システムの導入実績は医療・福祉施設をはじめ教育施設や研究施設等で560件を超えるという。介護老人保健施設くつろぎ苑(広島県福山市)を運営する医療法人慈生会前原病院の前原理事長は、「集団感染の発生を抑えることができたことにくわえ、見学者全員から『施設独特の臭いが全くしないですね』」との感想を得ている」と評価する。同社が2019年に実施した顧客アンケートでも、「感染予防に効果あり」が80%、「消臭に効果あり」が82%、「今後も継続使用したい」が100%と高い満足度を示している。ウイズコロナ社会にあって、スーパー次亜水による施設内衛生管理への期待は高まるばかりだ。

介護老人保健施設くつろぎ苑
介護老人保健施設くつろぎ苑
 スーパー次亜水専用蛇口
スーパー次亜水専用蛇口

壁掛噴霧器
壁掛噴霧器
スーパー次亜水生成装置
スーパー次亜水生成装置

※1保存期間:次亜塩素酸水は、残留性が低く安全な一方で、「消費期限」への注意が必要。温度の上昇や直射日光に弱く、希釈や保存方法によって大きく使用期限が変わる。25℃の室温で直射日光を避けて保管することが望ましい。3倍希釈~原液だと半年、5倍希釈で1~2ヶ月間程度まで保存可能とされている。

※2芽胞:一部の細菌が形づくる、極めて耐久性の高い細胞構造。胞子膜、皮層、芯部からなり、胞子膜の外側に外皮を持つものもある。熱・薬剤・乾燥などに強い抵抗力を示し、長期間休眠状態を維持できる。



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