第18回健康都市連合日本支部大会加盟都市活動報告❸

 泉佐野市で開催された大会が健康都市活動の再始動を象徴する場として盛り上がりを見せる中、愛知県大府市、神奈川県大和市、愛知県尾張旭市が活動報告を行った。いずれも第9回健康都市連合国際大会(2021年・香港)でアワードを受賞した自治体だ。

寝たきりにさせないまちづくりを目指し、健康づくり推進員と共に取り組む

愛知県尾張旭市

 尾張旭市は、2004年にWHOの健康都市連合に加盟した。本市の健康都市プログラムは、全ての市民がいつまでも元気で、いきいきと暮らせるまちの実現を目指しており、「寝たきりにさせないまちづくり(からだの健康)」、「外に出かけたくなるまちづくり(こころの健康)」、「住み続けたくなるまちづくり(まちの健康)」 の3つを施策の方針としている。

 

施策に基づく諸事業の推進を支えている団体の一つが「健康づくり推進員」(以下「推進員」)だ。地域での健康づくりのリーダーとして一般公募し、市が主催する講座を受講した市民に依頼している。「筋トレ」「ウォーキング」「笑い」を3本柱に2006年度から活動を開始した。現在、27名が元気に活動している。

 

市内では68の自主グループ約1600人が筋トレに励んでおり、推進員はそのうち三分の二のグループを支援している。指導について、前会長の間瀬氏は「鍛えている部分の筋肉を意識するように声掛けし、その筋肉の働きについて伝えている」としながら「高齢者には無理しない範囲で、本人の体力を見ながら、基本から大きくそれないようにしている」とそれぞれの身体能力への配慮を見せる。時には筋トレだけでなく、脳トレや笑いの体操などで日々のメリハリをつけているという。「雰囲気づくりでは、グループの主体性を重視し推進員はサポート役に徹しています。ただし、揉め事が発生しそうな場合は代表者に声掛けし、新しい会員に対しては孤独にならないよう声掛けをしています。」

 

推進員によって指導方法が違ったり、指導員自身のレベルに差があってはならない。そこで行っているのが、月に一度の自主勉強会だ。筋トレフォームの確認や笑いに関する体操の探求等、各々のメンバーが勉強成果を共有している。

 

2017年には中部学院大学(千鳥司浩教授)等との共同で「推進員の有無が、筋トレの自主グループに影響を及ぼしているか否か」をテーマに研究を実施した。対象者は「筋トレ」を4 年間連続して継続した185 名で、「推進員が存在する教室118 名」と「推進員が存在しない教室67 名」の2 群に分類。10m最大歩行速度、歩幅、最大脚伸展筋力等の5項目で測定したところ、主に次の結果となった。

 

「最大歩行速度」では「推進員が存在する教室」で経過とともに最大歩行速度が増加

 

「最大脚伸展筋力」においても「推進員が存在する教室」のみにおいて4 年後で最大脚伸展筋力が増加

 

 

推進員の関わりが、参加者の運動機能向上につながっていることが明らかとなったのだ。「4歳の加齢を加味した上で運動機能が良くなるという結果は、素晴らしい」と評価され、推進員の間でも「日頃感覚的に感じていた効果を科学的な数値で評価できた」と喜びの声が上がった。

推進員の指導で筋トレ体操に励む
推進員の指導で筋トレ体操に励む

左から森市長、間瀬前会長、スポーツ庁室伏長官
左から森市長、間瀬前会長、スポーツ庁室伏長官(写真:厚生労働省)

こうした推進員の活動は「第9回健康寿命をのばそう!アワード 生活習慣病予防分野」の「スポーツ庁長官優秀賞」として実を結ぶことになる。受賞式から2年が経過した本年度には「アジア健康長寿イノベーション賞2022」で日本国内優秀事例にも選ばれた。推進員は「今後健康都市を実現していくためにも、さらに協働で活動していきたい」「まだまだ突き進みたい!」と意気盛んだ。



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