「めざせ!健康寿命日本一」大分県の挑戦と花王のサポート

 「自分の健康を考えるいいチャンスを与えてくれて、とても感謝しています」。県民がそんな声を寄せたのは、10月初旬大分市内で行われた花王(株)主催・大分県後援のイベント「生涯健康県おおいた21 内臓脂肪みえる化ステーション」でのこと。

大分県の「健康寿命日本一」への挑戦と、これを職場や地域でサポートする花王の取り組みとは――。

10年後「健康寿命日本一」へ

 

 「大分県は全国で唯一、この10年で男女ともに平均寿命が2歳以上延び、長寿県トップ10の仲間入りを果たしました。しかし、健康寿命は男性が39位、女性が34位と男女とも全国平均を下回っており、その延伸が大きな課題です」9月8日の定例知事記者会見で、大分県の広瀬勝貞知事はこう語りました。そこで、今年から毎年10月を「みんなで延ばそう健康寿命」推進月間に設定。「今後10年間で『健康寿命日本一』を目指します!」と高らかに宣言しました。

 県は2013年に「第二次生涯健康県おおいた21」を策定して以来、施策のひとつである職場での健康づくりについて、協会けんぽ(全国健康保険協会)大分支部などとともに取り組んできました。翌2014年度には「健康経営事業所」認定制度をスタート。従業員の健康サポートに積極的に取り組む事業所を募集し、その事業所に対し県が健康づくりを支援する制度です。2014年度は、360以上の事業所が登録を済ませ、そのうち45事業所が「健康経営事業所」として認定されました。

大分県では「推進月間」の趣旨を伝えるために様々な広報を実施。 JR大分駅「JRおおいたシティ」大型ビジョンには健康寿命の延伸を訴える県の動画メッセージが
大分県では「推進月間」の趣旨を伝えるために様々な広報を実施。 JR大分駅「JRおおいたシティ」大型ビジョンには健康寿命の延伸を訴える県の動画メッセージが

職場の健康づくりを花王が支援

 

 2015年3月に経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄」に指定された花王は、自社の従業員の健康増進に積極的に取り組むだけでなく、「健康経営」の考え方とその手法の普及にも取り組んでいます。大分県の取り組みにも様々な形で協力しており、2014年度は健康経営事業所登録を推進する目的でヘルシア2,000ケースを贈呈。そして今年度は、県が中小事業所に対して実施する「働き盛りの健康みえる化促進事業」の企画・運営業務を受託、県内25事業所・1,000名へ健康増進の支援を始めました。

 花王が提供する健康づくりの特徴は、独自の技術による「内臓脂肪」や「歩行の質」の測定を通じて「健康の見える化」を行い、その意味を的確に伝え、さらに継続可能な「生活改善の提案」まで行うこと。生活改善ランキング上位の個人や事業所には花王のヘルスケア製品のプレゼントがあるなど、「職場での健康づくりを楽しみながら無理なく継続」できるのが特色。この10月から来年3月までの大分県「働き盛りの健康みえる化促進事業」の成果が注目されます。

ヘルシア売場で県の健康施策を広報
ヘルシア売場で県の健康施策を広報

内臓脂肪測定者が500名を超える大盛況!

 

 こうした職場での支援にとどまらず、より広く大分県民の健康づくりを応援する新たな取り組みが今秋から始まりました。

 ひとつは、県が県民に向け発信する啓発メッセージ「健康寿命をのばすカギは? 歩数、減塩、野菜」を県内のヘルシア売場(約230店舗)を通じてPOPやポスターで掲示、花王が県に代わって広報する試みです。

 「内臓脂肪みえる化ステーション」
「内臓脂肪みえる化ステーション」

 もうひとつが、10月2日~4日に行われた「内臓脂肪みえる化ステーション」の開催です。花王が企画・主催し、大分県、日本肥満症予防協会、日本人間ドック健診協会が後援、イオン九州(株)が県内最大級の商業施設「イオンパークプレイスおおいた」のスペースを提供して、実現しました。

 大分県の「みんなで延ばそう健康寿命」推進月間のキックオフとして開催された同イベントは連日大賑わい。内臓脂肪に関するセミナーと内臓脂肪測定が好評を博しました。

 セミナーのテーマは「内臓脂肪から『みえる』あなたの健康」。講師は花王ヒューマンヘルスケア研究センターヘルスケア食品研究所主任研究員の柳沢佳子さんです。

「大分の健康寿命は黄色信号。本当?なぜ?」。こんな問いかけから始まったセミナー。老若男女幅広い層の参加者が身を乗り出します。平均寿命と健康寿命の差が全国的にみて長い大分県で、健康寿命に影響する病気を調べてみると、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療を受けている人の率が全国1位と判明。その原因となる高血糖、高血圧、脂質異常といった症状の下に隠れている「内臓脂肪型肥満」のリスクに光が当てられました。「内臓脂肪はあなたの健康のバロメーター。あなたの生活を映す鏡」と講師が語ると、参加者は納得の表情。

見たことも、触ったこともない内臓脂肪について、模型を手にわかりやすい説明
見たことも、触ったこともない内臓脂肪について、模型を手にわかりやすい説明

ところが内臓脂肪は見えないし、触れません。「でも内臓脂肪は『測って、知って、減らす』ことができます」。内臓脂肪は新しく開発された医療機器で簡単に測定できるようになり、生活改善の効果も定期的な測定で確認できるようになりました。そして何よりもうれしいのは、内臓脂肪は「増えやすいが、減りやすい」という事実。

「運動」は、自宅でできる筋トレを参加者全員で!
「運動」は、自宅でできる筋トレを参加者全員で!

では生活習慣病のリスクとなる内臓脂肪は、どうすれば減らせるのか。「1.食事を改善、2.身体活動をプラス、3.トクホ(特定保健食品)を活用」という3つの工夫です。最後は講師が、来年2月に予定される次回の「内臓脂肪みえる化ステーション」まで「ちょっと生活を変えてみませんか」と呼びかけて、セミナーは終わりました。

このあと希望者は、特設の測定スペースで内臓脂肪を測ります。看護師に腹部にベルト型の電極を装着してもらい、約5分で測定終了。その場で測定結果がわかり、「内臓脂肪」が「みえる化」されます。

看護師から腹部にベルト型の電極を巻いてもらう
看護師から腹部にベルト型の電極を巻いてもらう
すぐに内臓脂肪の数値が表示される
すぐに内臓脂肪の数値が表示される
測定結果が書きこまれたシートを受けとる
測定結果が書きこまれたシートを受けとる

 さらに専用のウェブサイトにパソコンまたはスマートフォンでアクセスすれば、「内臓脂肪年齢」や「生活習慣分析」などの細かいアドバイスが受けられます。普段測れない内臓脂肪を気軽に計測できるとあって、3日間でなんと500名を超える人が測定を受けました。

「生活を見直す『きっかけ』を与えてもらい感謝」

 

 今回のイベントのねらいは、単に話を聞き、測定して終わる、という一過性のものではなく、次回の測定(来年2月予定)まで、何らかの生活改善を続けてもらうこと。参加者に感想を伺うと、「内臓脂肪が健康のバロメーターであることがわかった」、「生活を見直して次回ぜひまた測りたい」、「少し努力すれば減らせるようなので、チャレンジしたい」、「黄色信号が出た。運動を増やしたり、トクホを活用したい」などの声が寄せられました。みえなかった内臓脂肪の「みえる化」が、アクションを起こす「きっかけ」となったようです。

測定室の前で待つ参加者の皆さん。列が絶えることがないほどの盛況。
測定室の前で待つ参加者の皆さん。列が絶えることがないほどの盛況。
測定後、スタッフの結果説明に耳傾ける参加者
測定後、スタッフの結果説明に耳傾ける参加者

 「とてもいいチャンスを与えてくれて感謝しています」と喜んだのは60代の女性。「ふだんは車ばかりの生活で、歩きません。内臓脂肪なんて見たことないので、チェックができてよかった。気をつけないと、と思いました。家に帰ったら(専用のウェブ)サイトをみてみます。来年2月の次回までに運動を増やします。そういう『きっかけ』を与えてくれて、とてもいい体験でした」と感激していました。

講師の柳沢さんは、「内臓脂肪計は、腹囲や体重よりもダイレクトに内臓脂肪が『みえる化』され、その人の生活リスクが見分けられやすいのが特徴」と言います。「私どもスタッフが気をつけているのは、生活改善方法を押しつけるのではなく、選択肢を示し、その人なりにできる方法を選んでもらい、やる気を出して取り組んでいただくこと。それが継続のコツです」。

 3日間賑わった「内臓脂肪みえる化ステーション」は、健康寿命がにわかに注目される中、タイムリーな企画だけに新聞やテレビなどマスメディアにも取り上げられ、反響が広がりました。

 イベントを後援した大分県の草野俊介福祉保健部長は、次のように話しています。「県ではこれまでも健康づくりを積極的に推進し、平均寿命は全国トップ10入りしたものの、平均寿命と健康寿命との差が大きくなっているため、『減塩、野菜摂取、歩数』の3つの啓発活動に取り組んでいます。健康寿命日本一をめざし、今後新たな視点で取り組もうと考えているのが、測定や情報で容易に健康状態が把握できる『みえる化』と、やる気を引き出す『インセンティブ』、誰もが気軽に健康づくりに取り組める『社会環境の整備』の3つです。この方向性に合致した今回の啓発活動は、県にとっても極めて心強い後押しになり、ありがたい」。また、県福祉保健部参事監 兼 健康対策課課長の藤内修二氏は「500人を超える方が内臓脂肪を測定され、県民の関心の高さに驚くとともに、企画の素晴らしさを改めて感じました」と振り返ります。

 県とともにこの啓発イベントを後援した一般社団法人日本肥満症予防協会(理事長=松澤佑次住友病院院長)は、「こんにち、内臓脂肪型肥満が原因となって起こる糖尿病、高血圧など様々な生活習慣病が、脳梗塞、心筋梗塞、人工透析などの重篤な疾患に発展し、寿命、特に健康寿命に大きな影響を与えています。

日本肥満症予防協会では、肥満症やメタボリックシンドロームを予防し、健康寿命の延伸につなげていく活動を実施していますが、その中で今回の事業のように自治体のご協力のもとに実施する活動は極めて重要なものと位置づけています」と意義を強調します。

 会場を提供したイオン九州も、「健康寿命が注目される昨今、ショッピングを楽しみながら、その合間に健康チェックができるのはとてもよいことで、協力できてうれしい」(イオンパークプレイス大分店 田中宏典店長)とイベントの成功を喜んでいました。

主催者の花王は、「今回の活動によって大分県の大勢の皆様に健康への『気づき』と『きっかけ』をご提供できたことを何よりも嬉しく感じています。今回の測定データを解析し、大分県の内臓脂肪肥満の状況などを社会にお伝えし、県の健康寿命延伸に貢献できれば、と願っています。私どもの知見とサービスを今後さらに多くの方々に役立てさせていただきたい」(花王ヒューマンヘルスケア事業ユニット 森本聡尚マネージャー)と今回の反響の大きさに手応えを感じるとともに、今後に向けて決意を新たにしていました。

「楽しみながら継続」のノウハウを活かそう!

 

 なぜ民間の力が必要なのか。県担当部署である福祉保健部健康対策課健康増進班主幹の秦桂子氏(保健師)はこう語ります、「今まで健康にあまり関心のなかった働き盛り世代では『簡単で楽しく継続できる』がキーワードです。大分県では、職域を対象とした『健康みえる化促進事業』を花王さんと立ち上げ、健康機器を事業所に配り、職場での健康づくりを行っていきます。これとは別に今回の啓発イベントは広く県民にアピールするものですが、それにはノウハウをもつ民間の力が欠かせません。『健康寿命日本一』に向けて、市町村の協力はもとより、ぜひ花王さんのような民間団体の支援をいただいて進めたい」。

 今、民間企業のリソース(知見・技術・サービス・アイディア)を効果的に活用することが、自治体には求められています。他方、民間企業も、自治体との連携により自分たちのポテンシャルをより多くの生活者へ伝えることができ、健康寿命の延伸に一層貢献できます。

 「10年後の健康寿命日本一」を目指す大分県と、健康の「みえる化」をサポートする花王。「官と民のコラボレーション」は健康寿命延伸へのたしかな道といえそうです。

「みんなで延ばそう健康寿命」推進月間開始にあたり、イベント協力企業が大分県を表敬訪問(右から 花王、大分県福祉保健部(草野部長)、イオン九州、日本肥満症予防協会)
「みんなで延ばそう健康寿命」推進月間開始にあたり、イベント協力企業が大分県を表敬訪問(右から 花王、大分県福祉保健部(草野部長)、イオン九州、日本肥満症予防協会)

詳しくは、花王株式会社 フード&ビバレッジ事業グループ測定会担当 TEL.03-3660-7266

(受付時間 9:00~17:00〈土曜・日曜・祝日除く〉)