健康長寿日本一の実現に向けて3者で連携協定 ~肥満症予防と健康経営の推進へ大きく踏み出す~

山形県と一般社団法人日本肥満症予防協会、花王株式会社の3者は、「健康長寿日本一の実現」に関する連携協定を締結しました。地方自治体と企業・団体等の連携協定に、日本肥満症予防協会が参画するのは全国初のことです。


肥満症の予防・改善と「健康経営」の普及・推進がテーマ

 山形県の「健康長寿日本一の実現」に関する連携協定の締結式は、1月17日に山形県庁内で行われました。山形県の吉村美栄子知事、一般社団法人日本肥満症予防協会の齋藤康副理事長、花王株式会社の澤田道隆代表取締役社長執行役員が出席。今後、3者で相互に連携し、県民の健康保持・増進に取り組み、山形県の「健康長寿日本一の実現」をめざします

協定により、3者が連携して取り組む内容は以下の通りです。

(1)肥満症の予防と改善の取り組み

花王の持つ企画力と日本肥満症予防協会の持つ科学的情報を活かし、生活習慣病の原因として知られる「肥満症」、とりわけ「内臓脂肪型肥満」に着目した健康づくりを推進する。

 ①内臓脂肪測定会等(「内臓脂肪みえる化ステーション」)の実施

 ②肥満症予防を訴えるセミナーの開催

 

(2)健康経営の推進

健康経営企業として高い評価を受ける花王の経験・ノウハウを活用し、職場を通じた健康づくりを推進する「健康経営」の普及を行う。

 ①県内企業経営者等を対象とした健康経営セミナーへの講師派遣

 ②企業等における積極的な健康づくりを促進するインセンティブとなる支援の実施

   (県が実施する「やまがた健康づくり大賞」受賞企業に対する花王製品の提供等)

 

(3)生活習慣病発症予防のための啓発

日本肥満症予防協会の持つ科学的情報と、花王の地域におけるネットワークを活用し、生活習慣病予防のための啓発を行う。(花王製品売場を通じた健康づくり情報の発信等)

健康長寿への思いが合致!

 3者連携のきっかけは2年ほど前。県内酒田市に工場を持つ花王の澤田社長を、山形県の吉村知事が訪問したときに遡ります。花王の持つ健康づくりの経験や技術を、県民の健康増進に活用しよう、と二人の意見が一致したのです。

 山形県は、脳血管疾患による死亡率が全国でワースト4位(2010年調査)。生活習慣病の予防・改善と、それに繋がる塩分摂取、喫煙、そして肥満への対策が大きな課題となっていました。2015年に健康長寿推進課の中に「健康づくりプロジェクト推進室」を設置。全県挙げての取り組みを推進しています。

 

  一方、花王は日本肥満症予防協会とともに、生活習慣病の原因となる「内臓脂肪型肥満」の啓発活動を積極的に行っています。内臓脂肪をどこでも正確に測定できる医療機器を用い、地域住民の内臓脂肪を測定する「花王 内臓脂肪みえる化ステーション」を各地で開催。2015~2016年に山形県内で開催した測定会では、県民の内臓脂肪型肥満の割合が、全国規模の調査(企業従業員を対象に行った国立京都医療センターと花王の調査)と比べて高く、40歳以上の男性では65%にものぼることが分かりました。そこで日本肥満症予防協会も交えた3者で山形県の肥満症予防に取り組むこととなったのです。

 

 また、県が推進を図っている「健康経営」※に関して、花王は2年連続で「健康経営銘柄」(経済産業省、東証が選定)に選定されるなど、自社の従業員と家族の健康づくりに積極的に取り組み、豊富な経験を持っています。

※健康経営:従業員の健康増進が生産性や収益性の向上につながり、企業価値を高めるとの観点から、従業員等の健康に配慮する経営を言う。経済産業省と東京証券取引所が共同で「健康経営」企業を公表。

 こうして、面談の中で健康長寿実現への両者の思いが合致。肥満症予防による健康増進をめざして情報発信と社会的啓発を行う日本肥満症予防協会も賛同し、今回の協定に至りました。

 協定書に署名後の各挨拶は、以下の通りです。

◎山形県 吉村知事 「『健康長寿日本一』実現のために連携を深めたい」

 「本県が市町村等と連携して展開している『健康長寿日本一』実現プロジェクトを実りあるものにするには、関係団体との連携を深めることが重要です。

 この度、日本肥満症予防協会様、そして花王株式会社様と協定を締結できましたことは、たいへん有意義で喜ばしいことです。本県では、生活習慣病を惹き起こす要因となる肥満症の比率が高く、県民各位が生活習慣を見直して改善するきっかけとなることを期待しております。

 また、健康経営企業として高い評価を受けておられる花王様のノウハウの県内普及を図り、本県の健康企業づくりを推進したい。それは本県企業競争力の確保にも結びつくものです。」

◎日本肥満症予防協会 齋藤副理事長 「肥満症の解消に尽力」

 「健康長寿を実現するには、高齢になる前から、生活習慣病を惹き起こさないことが大切です。その重要なファクターである内臓脂肪型肥満を解消することによって糖尿病、高血圧、高脂血症はじめいろいろな病気を防げます。本協定を通じて、肥満症予防の啓発をしっかり行っていきたい。」

◎花王澤田社長 「『内臓脂肪』の知見と『健康経営』のノウハウで大いなる

        お役立ちを」

 「花王は、『清潔・美・健康』の3領域で、“豊かな生活文化の実現”に貢献する企業をめざし、近年は『健康』に注力しています。とくにメタボ、ロコモ、認知等、高齢社会の健康課題に正面から取り組んでおり、今回の連携に至りました。以下の2点から『大きなお役立ち』ができればと思います。

 

(1)「内臓脂肪」に関する知見  

 私どもは日本肥満症予防協会様とともに肥満、特に内臓脂肪という問題に取り組んできました。内臓脂肪は測って、そして減らすことができます。特に内臓脂肪を測って自分ごとにしていただくことが重要ですので、県内での測定会などを引き続き実施していきたい。

(2)「健康経営」のノウハウ  

 企業にとって従業員と家族は大きな資産です。この考えでこれまでやってきまして、おかげさまで2年連続で「健康経営銘柄」にも選定されました。こうした弊社の取り組みの経験・ノウハウを、山形県の企業の皆様と共有し、職場での健康づくりにも貢献させていただきたい。」

「官・学・産」連携で地域課題の解決に取り組む

 今回の取り組みはまさに官=山形県、学=日本肥満症予防協会、産=花王、の連携取り組みです。近年増えてきているこうした連携にはどのような意義があるのでしょうか。

 

 地方行政は地域の健康状況を解析し、課題と目標を明確にし、そこに向かった推進体制を構築します。しかし個々の課題の解決に当たってはより専門的な知見やエビデンスに裏付けられた介入手法が必要となります。

 

 肥満症予防協会は、日本の肥満研究の第一人者が設立した啓発団体で、学術的に裏付けられた助言や情報の提供、改善策の提案が期待されます。同時に協会にとっては、ある地域での啓発を成功に導くことが、全国的な啓発への足掛かりになるというメリットがあります。

 花王のような企業には事業活動の中で培った技術や知見があり、地域の健康増進に十分貢献できるものです。しかも日頃から生活者(住民)を顧客としてマーケティング活動を行っているため、生活者の視点からおもしろく、わかりやすい形で提供しようとすることが特長です。前述の「花王 内臓脂肪みえる化ステーション」には健康への関心が高い高齢者だけでなく、若い夫婦なども多数訪れ、楽しんでいる様子がうかがえます。

 今回の連携協定を推進した山形県健康福祉部長中山順子氏は、「協定の締結により、日本肥満症予防協会様の持つ肥満症予防に関する豊富な知識と花王株式会社様の持つ高い企画力を活かした健康づくりの施策を行うことが可能となります。それぞれの強みを活かし、肥満症等を惹き起こす原因となる生活習慣の改善を図るとともに、健康経営の推進によって本県の企業競争力の確保を図り、本県の健康長寿日本一の実現を目指していきたい。」と連携協定への期待を語っておられました。

 こうして実現した3者連携の取り組みは、来年度からいよいよ本格的に動き始めます。